《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

夏休みに交通事故に遭わない 達也と和也の延長戦。ノッちゃん モッちゃん 語感が悪い。

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アサダ ニッキ
星上くんはどうかしている(ほしがみくんはどうかしている)
第2巻評価:★★★★(8点)
  総合評価:★★★★(8点)
 

「似てない双子」と有名な2人の星上くん。兄・望はぼっちで、弟・求は学校の人気者。三毛野いさりは望と友達になってからトラブルだらけの学校生活だけど、一途に頑張る望に少しずつ惹かれていく。でもブラコンの求が黙ってるハズがない……!?八方美人女子×似てない双子のトライアングルラブコメ第2巻!

簡潔完結感想文

  • 双子の兄・ダメ上は勉強もダメだった⁉ 学年一位の弟と猛勉強 with いさり。
  • 夏祭り。いつも困ってる私に手を差し伸べてくれるのが星上くんだったよね。
  • 夏休み最終日。望君には言えないこと、望君に言いたいこと。友達の次は…。


ぐっと少女漫画らしくなってきた2巻。少女漫画としても1級品の2巻。1話1話身をよじって読みました。


自分の中の望(のぞむ)への恋心に気づいてしまった主人公の いさり。
だが、その気持ちに気づいてからというもの自分が望に友達としか見られていないことを痛感する毎日。
いさりは「望君のあたしへの熱烈な友情」のせいで「望君にとって恋から一番とおい場所に立ってる」のかもしれないと思い至り絶望し始める。

望の友達づくりだけは絶好調で、彼の周囲の友情や恋愛はなんだか上手くいかないという罪作りな望君であった。


今回そんな望の弱点が発覚。
それは模試の結果がとーーっても悪いこと。
これは いさりにも弟で学年一位の求(もとむ)にも予想外の事実で、進級さえ危ぶまれるほどの成績。

そんな折、クラスの女帝のポジションで望を疎む吾妻(あづま)と仲良くなりたい望は、吾妻の売り言葉を買って、来週行われる模試で学年20位以内に入るよう努力すると言ってしまう。
求の協力のもと望と いさりは放課後に猛勉強を開始するのだった…。
重度ブラコンの求のはずだが いさりは彼らと一緒に勉強をすることを拒否されなかった。

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吾妻と友達になるために自分の頭脳を計算できてない望
王子様の仮面を取ると口調こそ悪いが、求もまた流石、望の弟なのか心根は優しいことが分かってきます。
兄を溺愛しながらも少しずつ変化する求の態度も読みどころですね。

クラスメイトの男子・岩伏(いわふし)と友達になろうとする望に いさりは外堀を埋めろと言ってきたが、今回、望は吾妻という本丸を一気に狙ったのは何故か。
それは吾妻と友達になれば いさりがひどい目に遭わないからだと言う。
この いさりを思っての行動は純粋なる友情なのか、それとも…。
天然男子の望ですが結構やること、やってあげることはジゴロ系で笑っちゃいます。


この漫画の真骨頂は、この望の優しさのさらに先にもう一つの企みが用意されている点ですね。
いさりは吾妻と望の賭けをクラス内で吹聴することによって、望が人のために動いた実績を作り、望の地位の向上を狙っていた。
たとえそれで自分の評判が下がったとしても。
自分が嫌われないように立ち振る舞っていた いさりが、誰かが好かれるように立ち振る舞うというのも博愛精神に満ちた行動をとる。
望と求にキュンキュンしながらも同時に いさりが読者から自然に応援されている、本当に作者の企みは恐ろしいほど的確に効果を上げる。

そして、それを指摘するのは女子集団を忌み嫌っていた岩伏。
『1巻』でのラーメン屋の場面では いさりと会話しようともしなかった彼が自分から いさりと会話してる描写にも彼の内心の変化が分かります。
今後、岩伏が いさりを好きになったりするのだろうか…。

本当に登場人物の心の動きが何気ない場面でしっかりと描かれてるんですよね。
だからその巻や完読した後にもう一度読むに堪える漫画なんですよね。
この人のこの態度の裏には…、と再発見が幾つもある。つまりは単純に最高なのさ。


そして必ず二度読むことになると言えば夏祭りの回。
もうこれは漫画の叙述トリックですね。叙述は言葉としておかしいか。
ネタバレ前提の感想文なのでネタを書いてしまいますが、この回はこれまで以上に双子の設定を上手く活かした良質な回だった。

夏祭りの日、望とはぐれてしまった いさりの前に現れたのは、お面を付けた星上くんで、いさりは彼に自分の望への独占欲や感謝の気持ちを素直に吐露するのだが実はその星上くん…、というもの。
まぁ、真相はご想像の通りです。
これは『1巻』で いさりが既に星上兄弟を見分けられるようになった前提もミスリードになってますね。
笑顔という仮面のありなしで判断してるのかな。だから本当の仮面じゃ特定できないのか?
が、真相が分かっても分からなくても面白いのが叙述トリックの仕掛け。
ここにいるのが星上くんならば、ハプニングによる赤面やその優しさはどう解釈すればいいの?と読み返すこと必至。
今回の重要アイテムとなるお面の入手方法も自然で、大枠だけでなく細かいところにも作者の手腕を感じる。


夏休み中も 勉強を教えると いさりを呼び出した求。
しかも一緒に行くという望の提案を断って。あのブラコン求が、である。
求は夏祭りのことで いさりを強請るのかと思いきや、本当に勉強を開始する求。
だが折を見て いさりに望への気持ちを問いただし、そして…。

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望を通じて求とも過ごす時間が増えていき…。
この展開は作品の雰囲気が決して甘くないので油断してましたね。
ベタでありながら、誰もが好きな展開がこんな中盤から始まるとは思わなんだ。
この漫画、本当に一筋縄ではいきません。


結局、その日以来、星上兄弟とは会わないまま夏休みは最終日に。
そんな時に星上くんからの電話が掛かってくる。
どちらかしか知らないクイズを出して人を特定する いさり。こんな見分け方もあるんですね(笑)
望は春まで過ごした田舎に帰っていたという。
二人だけで花火をし、望からのプレゼントの髪飾りを付けてもらう時に二人の間に友情とは違う空気が流れる。そして…。
こんな気になるラストページどうかしてる。

星上くんはどうかしている(2) (KC デザート)

星上くんはどうかしている(2) (KC デザート)