《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

あの日 一気に冷めきった私の恋心を10年間冷凍保存の後、解凍してみた件。

わたしに××しなさい!(9) (なかよしコミックス)
遠山 えま(とおやま えま)
わたしに××しなさい!(わたしに しなさい! または わたしにバツバツしなさい!)
第9巻評価:★★★☆(7点)
  総合評価:★★★(6点)
 

もうすぐラブを しることに なるかもしれない。初恋の人が霧島だと気づいた雪菜は、ひとり霧島の元へ向かう。一方。時雨は霧島の黒い噂を耳にし、雪菜の後を追うが、霧島は雪菜を車に乗せて走り去り…⁉ キケンな初恋の結末は…緊迫の第9巻。

簡潔完結感想文

  • さよなら大好きな人1.告白の時雨からの返答。脇役だからか割とアッサリ。
  • 初恋の相手・霧島から「好き」を知るために霧島の車に乗り込む雪菜だが…。
  • さよなら大好きな人2.失恋さえもプレイに取り込む好奇心旺盛な若者たち。


ラブに至らずに終わる好きもあることを教えてくれる9巻。

9巻に名前を付けるなら「失恋巻」ですね。
今巻では2つの失恋が描かれている。

1つ目は、マミの告白に対して時雨の返答。
時雨の返事は誤魔化しのないものでしたね。
遊びで女心をもてあそんでいた時雨とは違う真剣な返答だということが分かる。
そしてマミもあっさりと引き下がりましたね。
それは時雨の中にもう別の人がいることを身をもって知っているからなのでしょうか。
もっと時雨に当たり散らすように泣きわめいたり、時雨の雪菜への気持ちを追求するかと思った。


そして2つ目が雪菜の保育園時代の霧島先生への初恋とその末路。
雪菜が先生への想いを再燃させるのは、10年ぶりの再会でその急展開には無理があると思いつつも、想定内だったが、一番意外だったのは雪菜が先生に彼女がいたことに雪菜が相当なショックを受けていることだ。

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10年前から好きだった男の人に見つめられることで昂る雪菜。これがラブ…?
私は雪菜のクラスメイトたちとは少し違う意味で彼女のこと冷血漢と思っていますし、それに重症の鈍感だと思っていたので、彼女が感情を揺さぶられていることに驚きを隠せない。
こんなに人の感情に無頓着な人が、自分の感情で泣くなんてビックリした。
これでまた一歩、物語も雪菜の「ラブ」も進めばいいのですが…。
過去のトラウマの原因になった人にまた現代のトラウマを作り出されて、恋に臆病になったりしなきゃいいけど…。
にしても雪菜は男性に触られることに過敏すぎやしませんか。


振り返ってみれば「あの目つき なおしたほうがいいよ」という言葉はそこまで酷い言葉じゃありませんね。
文字で見れば傷つくかもしれないが、聞いた時にはそのニュアンスが優しさなのか非難なのかぐらいは分かりそうな気がする。
自分のいない所で自分の話をされてるのを聞いてしまうだけで子供は勝手に傷つくというのも分かりますが。


霧島先生の良いところが読者には分かりにくかったですね。
これによって雪菜だけが10年前のフリーズドライされていた「好き」を勝手に解凍して暴走している感じが一層強まってしまっている。
基本的に優しいのだろうけれど、雪菜のトラウマの原因になったというマイナス要素もあるし、雪菜の危機演出とはいえ中学生を自宅に招いているのは男性としての危機管理がなさすぎる。
何もなかったことを証明できないと何かあったことにされちゃいかねない世の中ですよ。
また登場する女性が先生の「彼女」というのが生々しいですよね。
女性が同じ年齢でも結婚してたらあまり気にならないが、20歳そこそこの彼女というのが卒園生に手を出したと言われるのも納得の若い子好きな男性に思えてしまう。
まぁ先生の年齢をギリギリ20代にしたり彼女との出会いやその人の年齢を考えると結婚はちょっと無理が出てしまうのでしょうが。
あとこれはちょっと首が長すぎますよね。前世はアルパカかな?


その霧島先生に対抗すべく今巻ではヒーローとしての役割を大きく果たしている時雨。
序盤のヒール役はどこへやら、純粋な男に生まれ変わっている。
相手役の雪菜が迷走しているから、想いを貫く時雨のいい男度が増している。
ただ、見た目は本当にいまいち。どうにも馬面っぽいんですよね。もしくはアルパカ。
相変わらず具体的にどこが悪いのか私の観察眼と語彙力が指摘できないのがもどかしい。
顔の幅や輪郭が狭すぎるんですかね。鼻から顎先までの距離が長すぎる気もするし。
画像編集で時雨の顔の各パーツを切り取って福笑いみたいに位置を変えていくと、私がしっくりくる顔が出来上がるはず。


一方、晶は雪菜と距離を縮められずにいる。
そしてマミとは距離が近づくイベントがたくさん。
焦って優位に立っている時雨を貶めようとした晶を止めてくれたのもマミだ。


にしてもケータイ小説には締切とかないんですかね。
書きたいときに書いて投稿するってシステムで人気ならば出版させてもらえるなんて、プロの作家からしてみれば激甘なシステムだろう。
ただ自分がどんな状況であろうとも書き続けないと作家としての実力はつかなそうですね。
やっぱり雪菜には小説家としての未来はなさそうですね。
早熟な子役的な感じがします。

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女性の身体の描き方に並々ならぬ熱意を感じる。男性の方はモヤシなのに…。
季節が移って雪菜が以前掃除したプールを使っての授業が始まる。
水着シーンはいわゆるスクール水着
それが少年漫画の水着シーンにも引けを取らない密着度と身体のラインの描き方。
作者に男性疑惑が出るのもうなずける。