《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

主に少女漫画と小説の感想ブログです

黒沼爽子1日3変化 お菊さん 制服 私服。クラスメイト 片想いの人 そして彼女…。

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椎名 軽穂(しいな かるほ)
君に届け(きみにとどけ)
第10巻評価:★★★★☆(9点)
   総合評価:★★★★(8点)
 

おそれや自分の考えで、風早との壁を作ってしまっていた爽子。学校祭1日目の終了後、教室にいる風早に気持ちを全部届けに行く。その結果、ふたりは…。学校祭2日目の仮装行列、爽子の仮装で祭りは盛り上がります!

簡潔完結感想文

  • お祭り騒ぎの一冊。誰かの幸せでこんなに胸が揺さぶられるなんて。
  • ちゃんと伝えなきゃ始まらないから…。俺とつきあって下さい!
  • 風早みんなのもの協定が決裂。私の幸せは誰かの不幸になるのかな。


「やっと届いた…」の10巻。私は実質的な最終巻、と思っている10巻。

こんなに幸福感で満ち溢れた一冊はあまりない。
すきで溢れた一冊。
教室の外と中での爽子の告白のシーンは本当に名場面ですね。

誤解を重ねて二人を隔てていた一枚の扉。
少し扉は開いていてその隙間に爽子はこれまでの感謝の気持ちと、そしてとめどなく溢れる気持ちを伝える。
「すきなの」と彼女が連呼すると扉は開かれ、二人は同じ空間に一つの影となって存在を確かめ合う。

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君に届けたい言葉 心と体から溢れる言葉は ただ一つ。
本当に素晴らしい。
爽子の言葉じゃないですけど私も読書中の「この気持ち全部 どうやって言葉で伝えていいかわからない」。
言葉が感情に追いつきません。

公開告白のようになった風早の屋外での「すきだよ!」もいいですよね。
胸がキュンとするとはこういう事をいうんだ、と思うぐらいに胸に刺さる言葉。
恋っていいですねぇ。

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全世界の人に届けたいんだ。今の俺の気持ちを。
彼女になってからも「俺とつきあって下さい!」と念を押す風早もまたいい。
それが彼の誠実さであり融通の利かなさでもある感じだ。

この調子じゃ、手を繋ぐ、下の名前で呼ぶ、キスをするなど次の段階に進むのに長ーい手間暇がかかりそうですね。
私は以前から風早彼氏不向き説を提唱しているので、彼らの今後が見られるのが楽しみだ。
やっぱり束縛しちゃうのかな、面倒くさい男なのかなと今から彼の裏の活躍を楽しみにしています。

これまでシリアスだったので爽子のボケも久々に見れた感じです。
爽子のこの性格をよく知る風早だからこそいちいち確認しないと済まないんでしょう。
じゃないとまた勝手に誤解をしちゃうから。
その中でピンが悪乗りした「結婚」のくだりは、それを外す爽子のリアクションが面白かった。

両想いは少女漫画に溢れているけれど、こんなにもカップル双方を心から祝福できる漫画も珍しい。
どちらかの場合は多いんですよね。
少女漫画なので主に女性側。その中で爽子はもちろんのこと、風早にも同じぐらい祝福できるというのがこの漫画の特徴だろう。
風早は爽子の方が頑張ったと思ってるだろうけど、読者の皆は君の頑張りだって見てきたんだよ。
こちらこそありがとう、そしておめでとうだよ。


お邪魔虫・健人は今巻の中盤まで出禁状態です。
健人がいるだけで話がこじれたり脱線するので存在が消去された模様。

確かにあの仮装行列の待機場所での名場面の時に「貞子ちゃん、まだ風早のことあきらめないんだ。君しつこゥィィね」などと言われた日には盛り上がってきた雰囲気が台無しです。

でも健人は文化祭の出し物制作での男子の集まりでも目立ってなかったし、クラスの打ち上げも先約があるとかで参加してなかった。
もしかして仲間外れなんじゃないかと心配しちゃいます。
11巻以降の『君に届け 第二部』は元チャラ男でクラス内で孤立する健人が、元ぼっちの爽子の協力のもと、クラスで友達を作る編をお送りします。
お楽しみに(嘘)

健人とくるみというカップリングは作者の中に全くなかったんでしょうか。
見た目も釣り合うし、今巻の後に一度ぐらい健人が軽い気持ちで接近するかなと思ってましたがなかったですね。


文化祭の片づけの日、矢野と吉田が早めに登校して爽子の物品に嫌がらせをされていないかチェックするというエピソードはよく考えられてますね。
風早の影響力を考えると祝福できない人が一定数いる事を見越しているのだろう。
本当に頭は回るし優しい友達だ。

しかしそんな心配のさなか『2巻』の過激派女子が再登場。
作中でも「過激派」呼ばわりされていて笑った。
爽子に害が及ぶ前に彼女たちと対峙したのはくるみ…。
という場面で今巻は終了。続きが気になる!


でも正直なところ「episode40.」で終わっても美しかったのかなと思います。
私までこんなに幸せな気持ちにさせてくれた爽子たちの今後は知りたいと心底思う。
お話的にも今巻収録分を読む限り後日談的エピソードもよく練られているし、次巻も絶対に読むだろう。

けれど、ここで終われば間違いなく傑作として残るが、続く事で今後が蛇足になるという危険性もある。
特に爽子と風早カップルですから、この後に誰が言い寄ってきてもなびくことはないのは明白だし、ある意味で今が幸せのピークだし。少女漫画としては展開が難しいところ。

巻末の関連商品の充実を見る限り、商売としては続けるのが最良なんだろう。
でも終わりの線引きが難しい。
少なくとも高校卒業までは描かないときりが悪い。けれど質を保つという最重要課題が犠牲にならないか心配。
私は再読でこの感想文書いていますが、鮮明な記憶はここまでぐらいなんですよね。
なので初読時と同じぐらい今後の展開が楽しみであり怖いです。

君に届け 10 (マーガレットコミックス)

君に届け 10 (マーガレットコミックス)

  • 作者:椎名 軽穂
  • 発売日: 2010/01/13
  • メディア: コミック