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罪と罰〈上〉 (新潮文庫)

罪と罰〈上〉 (新潮文庫)

頭はいいが貧しい大学生ラスコーリニコフは、悪辣な高利貸しの老婆を殺害し、その財産を有意義なことに使おうと企てるが、偶然その妹まで殺してしまう。罪の意識と不安に駆られた彼は、自己犠牲に徹する娼婦ソーニャの生き方に打たれ、ついに自らを法の手にゆだねる。『刑事コロンボ』風の推理小説と、恋愛小説、青春小説の要素が一作で楽しめる、ヘヴィながらも熱い予言。


よ、読みにくい…。世界的名作のあらすじは、ある程度は知っていたのですが、主人公がこんなに躁鬱の激しい人間だとは知らなかった。ベラベラとよく独り言を言ってます。そして全ての会話と挿話が長い。今の出版界じゃ、編集者に直されること請け合いかな? 外国人名が苦手な上に今回はなんとロシア名。名前の感じがみんな似てるし、本名と愛称との違いで戸惑い「えっと、この人はどなたでしたっけ…?」と思うこと数十回。特に上巻の最後に急に出てきた人物は下巻をしばらく読むまで分からなかった。あの展開は唐突でした。
上巻終了時の感想としては、超一流のサスペンスだと思った。主人公ラスコーリニコフが犯した殺人が暴かれようとする緊張感と、ラスコーリニコフ自ら暴露を望んでいるかのような心理に後半は引っ張られます。外圧の物理的なプレッシャーと内圧からの心理的なプレッシャーが次々とラスコーリニコフを襲う構成が良い。殺人の動機はあらすじに書かれているような有名な理由だけではないと思った。確かに学問的な殺人とも言えなくもないが、ひどく単純で卑近な理由ともいえる。ただ単に妹のためだといえるし、自分の想念を確かめるための殺人だともいえる。上巻の最後の数十ページのポルフィーリイとの殺人と法に関する論文の議論はとても面白かった。凡人側の私としては承諾しきれない箇所もあるけど、凡人の保守的な姿勢の件は特に興味を惹いた。ああいう学問的な考察は好きです。
私は昭和26年発行の米川正夫・訳の「罪罰」を読んだのですが、時代が古いせいか言い回しが分からなかったりする所がありました。「ちょっ」とか謎でした。全体的に重厚な感じはするけどね。あと、古いせいか解説が上巻に載っている。下巻の展開を知ってしまった事が一番ガッカリしました…。

罪と罰つみとばつ   読了日:2005年12月05日