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愚者のエンドロール (角川文庫)

愚者のエンドロール (角川文庫)

「折木さん、わたしとても気になります」文化祭に出展するクラス製作の自主映画を観て千反田えるが呟いた。その映画のラストでは、廃屋の鍵のかかった密室で少年が腕を切り落とされ死んでいた。誰が彼を殺したのか?その方法は?だが、全てが明かされぬまま映画は尻切れとんぼで終わっていた。続きが気になる千反田は、仲間の折木奉太郎たちと共に結末探しに乗り出した!さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリの傑作。


前作『氷菓』に続くホータローたち4人の古典部メンバーが学内の謎に乗り出すシリーズの第2弾。練られた展開やミステリとしての面白さは十分だったけれど、前作に比べると一味足りない。それは多分、結末が私の望むものではなかったからだろう。黒幕の存在は面白かったけど、この結末は好きになれない。動機や誘導の仕方は殺人が起こる以上の悪印象。それもアノ登場人物のキャラクタだといえばそうだろうけれど、人情味に欠けるというか、温かさがない。今回は「ちょっぴりほろ苦い」の意味が私が求めていたのと違う。前作の『氷菓』は好みのほろ苦さ・やりきれなさがあるけれど、今回はほろ苦いのは、読者ではなく若いホータローだけだ。脚本家の心の動きとかクラスでの立場が「ほろ苦い」一因だったら良かったのに。残念である。「使う者」「使われる者」がハッキリ分かれてて貴族社会のような構図も苦手だった。今回の「苦」は苦手の「苦」。
その後の展開としては面白いけれど、物語のスタート地点も苦しい気もする。脚本を頼まれた女性とは脚本制作の途中で心労のあまり胃炎と鬱状態に陥ってしまった。脚本は未だ未完成で結末が出来ていないが、唯一絶対の結末は確実に存在する、ってすごい設定ですよね。第一、…すればコトはすぐに解決するんじゃないの?と思っていました。が、そこには、さすがにフォローが入っていた。このように最後まで読むと「なるほどネ」と思う所があるんだけど、途中までは説明不足で不可解な事が多すぎた。そして今回は前巻にも増して「省エネ」ホータローは「皮肉屋」ホータローにしか見えない。けれど、後にそういう展開が用意されていたのか、と後になり納得もした。その増長は意図的なものなのか。 映画の完結を見た古典部の他の3人が各自にホータローに接触・意見する場面は心をくすぐられた。いいぞ青春!って感じ。ところで、5章の「味でしょう」って「アジテーション」にかかってる?と思い検索したら、それらしき事があった。うん、確かにアジってる。意図的な方法での検索なので確証はありませんが…。
追記:『クドリャフカ』文庫版の作者あとがきで「アジテーション」の正解が確定。

愚者のエンドロールぐしゃのエンドロール   読了日:2005年07月22日