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τになるまで待って PLEASE STAY UNTIL τ (講談社文庫)

τになるまで待って PLEASE STAY UNTIL τ (講談社文庫)

森林の中に佇立する“伽羅離館”。“超能力者”神居静哉の別荘であるこの洋館を、7名の人物が訪れた。雷鳴、閉ざされた扉、つながらない電話、晩餐の後に起きる密室殺人。被害者が殺される直前に聴いていたラジオドラマは『τになるまで待って』。“ミステリー”に森ミステリィが挑む、絶好調Gシリーズ第3弾。

↑のあらすじには「絶好調Gシリーズ」なんてありますが、恐らく多くの読者がミステリとして期待してないような気もするぞ、シリーズ第3弾…。
感想としては、感想を書こうとも何も思い浮かばない…。論理だけのミステリだからか、現実的過ぎるからか、淡々と始まり淡々と終わった。外界との連絡も困難な密閉された館の中で殺人が起きても、誰も内部犯を疑うような疑心暗鬼の心理状態にならないし、推理らしい推理も加部谷たちが警察の到着を待ってる間のみ。警察の捜査を大人しく待っている、ってのはミステリのセオリーから外れている。いかにもな舞台なのに、演技をしない役者たちに不満です。館だぞ、館!
そして『扉は閉ざされたまま』(?)事件は解決。私はこの展開は結構好きです。外から見てるとよく分かることもあります。ただアッサリ味・カロリーオフで味気ないってのはありますけどね…。超能力の方もマジック好きの森さんの、マジック1ネタ披露とも言えなくもない。もうちょっと濃い味付けをシェフに望みたい所。
萌絵と犀川先生の距離は私の想像以上に近かった。萌絵の喋り方に大人っぽさを感じます。果たして彼らが館に入らなかったのは伏線なのだろうか…。
前巻でも書きましたが「今後の動きには注目です」としか言えないですね。もう連続ドラマ感覚とでも言うような印象です。1話(1巻)ずつも安定した視聴率を取るために面白く作られているけど、核心には触れず最終回の結末だけに重点が置かれている気もする。やっぱり、もっと1話に見ごたえが欲しいってのも本音です。
(ネタバレ反転→)シリーズ3冊目(S&Mシリーズでは「笑わない数学者」、Vシリーズで「月は幽咽のデバイス」)は綾辻さんの「館シリーズ」のような館自体に秘密があるような大掛かりなセットというのが決まりなのでしょうか…? 睦子伯母さんの怪しい存在感が気になります。もちろん最後の展開も。「あの人」の再登場は例のシリーズがあるから可能性として低いと思ってたのですが…。(←ここまで)

τになるまで待ってタウになるまでまって   読了日:2006年02月24日