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ゴールド・フィッシュ (角川文庫)

ゴールド・フィッシュ (角川文庫)

中学3年になったさゆきは、高校受験をひかえ揺れていた。大好きないとこの真ちゃんは、音楽で成功するという夢のために東京へ出て行った。幼なじみのテツは、めっきり大人びて、自分の進む道を見つけている。それに引き換え、さゆきは未だにやりたいことが見つからない。そんなある日、真ちゃんのバンドが解散したという話を聞き…。デビュー作『リズム』の2年後の世界を描き、世代を超えて熱い支持を得る著者の初期傑作。


あらすじの通り『リズム』の続編。よかった。前作よりも更に胸を打った。続編ながら前作の中心人物である真ちゃんは物語の外にいる。さゆきの心の中では中心を占めながらも、直接の会話は無い。『リズム』の感想でも書いたけれど、壊れ方の描写が上手い。涙の出ない帰り道。忘却の為の集中。主人公・さゆきが、いかに絶望しているのかが、よく表れている。今回は担任の大西先生がよかった。高校受験の発表の描写でこちらまで緊張し、報告に向かう時は枕が濡れていた(寝ながら読んでいたので…)。先生も、不完全な人間であると、この歳にもなるとよく分かる。そしてテツ。本当に強い男になった。そして優しい。タイトルの「ゴールド・フィッシュ」ってこの事か、と遅まきながら気付いてなんだか笑ってしまった。(調べたら)ホントに英語でこう言うらしい。ちょっと直訳で安直過ぎないかと笑ってしまった。
森絵都さんは作品1つの世界の作り方が非常に上手いと再度思う。序盤にさり気なく書いて読者として予備知識として持たせた事を、後半、非常に有効な使い方をする。今回、私が秀逸だと思ったは「さゆきの誕生日」と「穴」の使い方である。どちらも最後の最後に重要な役割を持ってくる。この2つが物語の最後にきていることで自然と微笑み、そして幸せな気分にさせてくれた。これで大抵の森絵都本を読み終わった。あとは新刊をただ待つ身になってしまった。

ゴールドフィッシュ   読了日:2005年01月11日