- 作者: 光原百合
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2004/06
- メディア: 文庫
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「恋しくて恋しくて、その分憎くて憎くて、誰かを殺さなければとてもこの気持ち、収まらないと思った」―切なすぎる結末が、最高の感動をよぶ物語。第55回日本推理作家協会賞を受賞し、「2003年版このミステリーがすごい!第6位」にもランクインをした珠玉の連作ミステリー、待望の文庫化。
双葉文庫はキレイな装丁でなんだか惹かれてしまう。そこに第55回日本推理推理作家協会賞とくれば読んでしまうでしょう。と、ここでデジャヴ。以前も双葉文庫で面白そうと惹かれた作品があった。それは本多孝好さんの『MISSING』。思えば色々共通点があるなと思いまして列挙します。
1.上記の通り双葉文庫でキレイな装丁に目がいく。
2.ほぼ新人作家で「このミス」ベスト10以内にランクイン。
3.文章の構成が上手く、一文一文、言葉を選んでいる所。
4.そのお話がどこか切なさを帯びているところ。
5.短編集であり、順番とともに面白さが減っていく所…。
などなど。残念なのは5番目が共通している所。上記の『MISSIN』」と同じく狭義のミステリではなくなっていき、ミステリを期待していると裏切られるかも。
- 「十八の夏」…表題作。物語が思いもせぬ方に向かって驚いた。こういう驚きとともにもう一度最初から読み返す物語大好きです。2度目は解釈が全く違ってまた新鮮。文庫版の背表紙の紹介文のセリフを言っている人があの人とは驚き‥!
- 「ささやかな奇跡」…この本の短編は花をモチーフに書かれています。順番に朝顔・金木犀・ヘリオトロープ・夾竹桃。植物知識貧困な私は金木犀あたりから怪しい。その金木犀がこの短編のキー。ちょっと出来過ぎ?奇跡とは大げさだと思う。誤解が解けただけの気もするし。幸せな物語ではあります。
- 「兄貴の純情」…う〜ん…これは最初に一言あればそこで物語が終わったような。だって兄貴が彼女に好意を持っているのは明らかなんだから、そこで一言。これはミステリなのかな?叙述トリックとか錯覚と言えなくもないが。ネタバレ?
- 「イノセント・デイズ」…一番長い短編100ページ。そして一番ミステリらしい物語。死者で囲まれていると言ってもいい。これは最初に予想したとおりの方向へ。最初から最後まで設定が活きていると思います。奥さんにもう一味出して欲しかった。