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三谷幸喜のありふれた生活〈5〉有頂天時代

三谷幸喜のありふれた生活〈5〉有頂天時代

映画「THE有頂天ホテル」も大ヒット、大河ドラマ史上初の続編「新選組!! 土方歳三最期の一日」や、世界のイチローが殺人犯を演じて話題の「古畑任三郎ファイナル」、初の歌舞伎作品「決闘!高田馬場」に、NHK大河ドラマ功名が辻」出演など、人気脚本家はあいからずの超多忙。とびの大出血やパソコンのウイルス感染と、プライベートでも波乱万丈な『ありふれた生活』、待望の第5弾。


年に1冊ずつ出版される脚本家・三谷幸喜さんの新聞連載をまとめた本シリーズもこれで5冊目。収録時期は2005年4月から06年4月までの1年間。この1年の出来事は↑の「あらすじ」にある通り(丸投げ)。長年、携わったドラマに別れを告げたり、歌舞伎の脚本・演出に初挑戦したりと、表には見えにくいが多忙な毎日を過ごす。私はすっかりご無沙汰してしまった本シリーズ。当初は三谷監督3本目の映画「THE有頂天ホテル」を観賞してから読もうと放置したまま4年半寝太郎。ただ、十分に寝かしただけあっていい感じに熟していました。
この期間に始まった三谷さんの新しい仕事は歌舞伎の他にも、清水ミチコさんとのラジオ「Making Sense」がある。妻(小林聡美さん)には「タレント気取り」と揶揄されようと、未知の世界を体験したい欲求を原動力に新天地を切り拓く男・三谷。本人は「思い出作り」の一つとして始めた仕事だが、現在(10年)も続いている長寿番組になり、番組本も3冊を数える。このコンビは最強のタッグなのかもしれない。大河ドラマ出演や子供向け番組の臨時MC挑戦など、三谷さんの「タレント気取り」 or 「思い出作り」は続くのであった。映画宣伝の為の過剰な番組出演は(その手法自体が)どうかと思う。過剰で必死な宣伝が痛々しさに変わる…。
注目は珍しく時事問題を扱った「タイゾー議員、二十年後に注目?」での、三谷さん2回目の政治予言。1回目は何かと言うと93年出版の初エッセイ『オンリー・ミー』内での、『私が総理候補として注目しているのが、小泉純一郎さんである。彼には従来の総理のイメージを払拭してほしいものだ』という一文。その後、見事に予言は的中。三谷さんの慧眼に恐れ入るばかりです。さて、残念ながら今年(10年)に国会議員ではなくなってしまったタイゾー議員ですが、20年後の西暦2025年にはまだまだ時間がある。再びの異色総理誕生が楽しみでもあり怖くもある。
本書で強く感じたのは三谷エッセイでは登場するどんな人も良い人に思えてくるという事。勿論、全員が三谷さん同様に真剣に仕事に向き合っているからなんだろうが、三谷さんの人への温かい眼差しを本書では強く感じた(特に巻末付録の寄稿を読んで)。三谷さんだってストレスを感じる事が多々あるはずなのに、それをエッセイの文面には決して出さない。それは毎週の出来事を多くの人に報告する機会を持っている人には本当に精神力がいる事だと思う。『しぶしぶ書いてい』るというこのエッセイも、三谷さんの一流のエンターテイナーとしての心構えがあるからこそ、純粋に面白い物に仕上がっているのだと思った。
本エッセイは脚本家・三谷幸喜の仕事と、その仕事に関わった芸能人たちの裏話が読める事が人気の秘訣に違いない。しかし三谷夫婦に興味津々の私には、夫婦の私生活を窺い知れる絶好の機会でもある。妻は家庭の話をベラベラと話さないタイプの人なので、脇の甘そうなオットの報告から夫婦の実情を探る(笑) 両親の実家に帰省の話なんて小林さんの口からは絶対に聞けないもんな〜。

三谷幸喜のありふれた生活5  有頂天時代みたにこうきのありふれたせいかつ5  うちょうてんじだい   読了日:2010年12月15日