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俺はその夜多くのことを学んだ (幻冬舎文庫)

俺はその夜多くのことを学んだ (幻冬舎文庫)

「電話したい電話したい電話したい電話したい、気が付いたら彼女の家の番号をダイヤルしていた」(本文より) 盛り上がった初デート。家に戻った俺は、もう一度彼女と話をしたくなる。煩悶した末にかけた一本の電話が、不幸な夜の幕開きだった…。俺が学んだ"恋愛に関する七つの真理"とは?可笑しくも、しみじみと染み入る、人気脚本家の名短篇。


何だろう、この共感は。分かるんですよねー、この気持ち、そしてこの悪循環も。多分、この本の上手い所はそこにあると思う。必要最低限の文字数ながらも最大限の共感を得る設定と展開。よくある設定だけれども、読者(多分、男性が多いだろう)の胸を掻き毟るようなエピソード。この本はある種の「鍵」なんだと思う。読者の心の奥底にある、初恋や淡い恋といったジャンルに分けられている扉を開ける共通の「鍵」。この本を読んだ人は誰でも想起するのだ、あの頃のあの恋を。誰にだってあるでしょう?相手の現在を想像する事、急に声が聞きたくなる夜、鳴るのをひたすら待つ電話、軽いストーキング(笑)そして恋のフライング(笑)。繋がった電話、なのに弾まない会話、自分は明るい声が聞きたいだけなのに…。
この本が「大人の絵本」と呼ばれているのが分かった気がする。絵本という物が寓話的であったりするように、この本は恋愛のリアルな寓話である。もう一度、教えてくれるのだ。恋をする度に学ぶ事を。そして何より重要なのは恋をする度に、私たちはこの事を忘れて同じ失敗を繰り返すという事を。本でも現実でも、この無限のループが繰り返されるのだ。それが恋ってヤツなのさ(笑)

俺はその夜多くのことを学んだおれはそのよるおおくのことをまなんだ   読了日:2000年頃