《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

あかりは海外ロマンス小説の翻訳を生業とする、二十八歳の独身女性。ボーイフレンドの神名と半同棲中だ。中世騎士と女領主の恋物語を依頼され、歯も浮きまくる翻訳に奮闘しているところへ、会社を突然辞めた神名が帰宅する。不可解な彼の言動に困惑するあかりは、思わず自分のささくれ立つ気持ちを小説の主人公たちにぶつけてしまう。原作を離れ、どんどん創作されるストーリー。現実は小説に、小説は現実に、二つの物語は互いに影響を及ぼし、やがてとんでもない展開に!注目の作家、三浦しをんが書き下ろす新感覚恋愛小説。


大局的に見れば何も起きてないといえば起きてないし、恋愛においては大事な時期を通過した、とも言える。多分、受け手側の問題。私にとってはいまいち盛り上がらなかったな、というのが感想。もっとハチャメチャに壊れていく小説が読みたかった。スラップスティック的なドタバタ劇の末、もうロマンス小説とは到底似ても似つかない物にして欲しかったのに…。結局は独りよがりの悩み。打算で恋愛をしている訳ではない、というあかりが完全に打算的な思考で自意識過剰に悩んでいるだけ。ロマンス小説の結末も結局はあかりの真面目な性格が表れていると思う。自身の気持ちが収束したから、創作小説もありきたりな終結とはつまらない。小説への影響が小さすぎて、結局は普通のロマンス小説と変わらないのが不満点。
私は最初から間違っていた。一つは物語の展開。上記の通り案外普通に終わった事。そしてもう一つは、恋人の神名(かんな)を「かみな」だと思い込んで読んでいて、矢野神名というフルネームにビックリした事。神名って名字じゃないの!?って驚いたり。嬉しい誤算は本編より楽しかった長めのあとがき(笑) 解説かと思っていたら全て著者のあとがきだった。エッセイストとしても活躍している三浦しをんの底力を見た。毎日の生活をここまで楽しく書ける人はなかなかいない、と変なところで感心してしまった。次はエッセイ集を読んでみようかな…。

ロマンス小説の七日間ロマンスしょうせつのなのかかん   読了日:2004年11月18日