《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

おれは非情勤 (集英社文庫)

おれは非情勤 (集英社文庫)

ミステリ作家をめざす「おれ」は、小学校の非常勤講師。下町の学校に赴任して2日目、体育館で女性教諭の死体が発見された。傍らには謎のダイイングメッセージが!一方、受け持ちのクラスにはいじめの気配がある…。盗難、自殺、脅迫、はては毒殺未遂(!?)まで、行く先々の学校で起こる怪事件。見事な推理を展開するクールな非常勤講師の活躍を描く異色ミステリ。他にジュブナイルの短篇2篇を収録。


「推理作家希望ハードボイルド小学校非常勤講師探偵」とでも言いましょうか‥非常に面白い設定。小学5年生・6年生という雑誌に連載されていただけあって、表現は子供向けに作っているんでしょうが、起こる事件は私も楽しめるモノになっています。というよりも、大人だからこそ驚かされることもしばしばありました。先入観や小学校の頃には持っていたはずの感覚や興味というものをいつの間にかに失っていることに気付かされました。
事件は非常勤講師になって向かった小学校の先々で起こります。この小学校名は章を追うごとに一ずつ増えていく設定になっているのも面白い。子供という設定を上手く生かした事件ばかりで、どうやったらこんなアイデアを思いつくのだろうと感心してしまいます。中には子供だからこそ残酷な事件があって、先日起こった長崎の事件を想起させ、子供特有の社会や考え方に複雑な気持ちにもなりました。この「おれ」先生はどの大人よりも子供に対いて真摯な態度で接していることが救いですが。

おれは非情勤おれはひじょうきん   読了日:2003年07月18日