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殺し屋シュウ (幻冬舎文庫)

殺し屋シュウ (幻冬舎文庫)

人気絶頂のロックシンガー椎名ゆかは、コンサート中お気に入りの曲を歌っている瞬間に自分を撃ち殺してくれと頼む。シュウは彼女の額に照準を定めるのだが…(「シュート・ミー」より)。フィッツジェラルドを愛読するセンチメンタルな殺し屋のもとに転がり込んだ奇妙な7つの依頼。急逝した著者がハリウッドで映画化を夢見た幻のシリーズ。


ハードボイルド小説なんだろうか?ジャンルの定義って不明で無益ですけど。私の印象では銃とお酒の小説。この二つが必ず短篇に一回は出てきます(銃は当たり前か)。銃の説明が長いのはリアリティだと思おう。もうちょっとシュウの普通の生活(大学での場面)が描かれてたら、対比が面白かったのに。仕事の話ばっかりで大人向けのアクション漫画のような印象だった。もう少しシュウの仕事に対するセンチメンタルな部分があってもよかったな。この手の小説(裏稼業や銃など)を読むとどの辺りまで現実でも起こりうる事なのか考えてしまいます。日本でも銃を持たないと不利になる人がいるから銃がなくならないのかな、なんて考えております。

  • 「ファーザーズ・デイ」…警官でありながら暴力団と内通し暴力的で派手な生活を送る父に苦しめられた母とシュウ。その生活に決着をつけるのは…殺し屋シュウのプロローグ。暴発しそうな家族の会話とラストの展開が魅力的な構成。
  • マーシー・オブ・サムライ」…殺し屋シュウ修行編。最初の人殺しの直後からアメリカに渡り銃の知識と扱いを学ぶシュウ。卒業試験と訓練風景が交互に描かれている。ブードゥー教って過去とかも分かるものなのだろうか?気になる。
  • 「シュート・ミー」…喉を潰し薬漬けになった女性ロックシンガーを殺して欲しいと芸能事務所からのシュウへの依頼。小説に描かれる芸能人って売れる気がしないのはナゼ…?(ダ・ヴィンチ)現実の芸能人も売れる理由は不明ですけどね。
  • 「ショットガン・スコール」…広域暴力団の三代目から時代遅れの老組員を殺してほしいとの依頼。仕事よりもアフターケアがシュウ独自のサービス。前の短篇も死んでしまった人が戻らない事が一番悲しい。殺したのはシュウだけど。
  • 「スーサイド・ヒル」…引退した映画プロデューサーが時がきたら自分を殺せと依頼する。彼はアルツハイマー病で呆けたまま生きるのも、自ら死を選ぶのもよしとしなかった。自分の判断が、意識が正しいのかどうか、怖い問題です。
  • 「ナイト・フラッシャー」…大物議員が高級娼婦に弱みを見られたと思い彼女を殺すよう依頼。依頼は見たかが問題ではなく殺す事の一点、だが…次の短篇と前後編を成す作品。虚構の世界で本当の話をする二人が切なく美しいと思った。
  • 「キル・ゾーン」…シュウと師を共にする暗殺者。彼らの決着はどちらかの死。シュウは快楽で人を殺す者たちの庭に投げ込まれた。フル装備で挑むシュウの因縁の対決。対決のシーンは怖いもの見たさの心境。妙な興奮を感じている。
  • 「ニュー・ファミリーズ・デイ」…父が死んでから幾年が経って愛する者が一堂に会する時が再びきた。タイトル通り、シュウの新しい家族の始まりの物語。改めて彼らが幸せになればいいな、と純粋に思う。

殺し屋シュウころしやシュウ   読了日:2003年10月18日