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生贄を抱く夜 (講談社文庫)

生贄を抱く夜 (講談社文庫)

大富豪の友人・真寿美のおもちゃになっている平凡なOL・波子は、彼女の豪邸で突然意識を失った。気づくと自宅で手足を縛られ、裸同然の姿でストーカーに襲われようとするところだった。そこに真寿美の死体が現れる! 歪んだ人間関係が交錯する表題作ほか。神麻嗣子(かんおみつぎこ)、神余響子(かなまりきようこ)、能解(のけ)警部らが超常事件に挑む!


シリーズ7作目。今回も短篇集。著者本人も言う通り「番外編」に近い。レギュラーメンバーをあれだけ増やして、出てくるのは数人。しかも捜査陣としてとか、最後だけとかでキャラクターを楽しむにも楽しめない。4,5年もかけて読んでいるのに、話が進まない・変わらないのはちょっとなー…。今回はミステリ1編も本当に短く、状況説明→解明と速いテンポで進むので、全体的に印象に残らない。
神余さんのスキマーが前作に出てきた叶宮さんに正式になって、結構な頻度で登場。私はてっきりモモちゃんが神余さんのスキマーだと思っていた。そーいえば、講談社ノベルス版の表紙の絵の女性は神余さん?何だか急に大人っぽくなって。25歳ぐらいに見える。初め、新キャラクターかと思いましたよ。
そうそう、一つ考え付いた事が。容疑者がある程度、絞られたら1人1人に「カンチョウキ」を使ってテレパシーで動機やトリックを読み取るってのはナシ…?ナシだよね。超能力ミステリでも謎解きは論理じゃないとネ…。更にいえば、そう言われない為にか、このシリーズの超能力者や関係者は既に物言わぬ死体になっている事が多いですね。次回は少なくとも長編を。この際、完結しちゃってもいい。

  • 「一本気心中」…妻の家出を認知していない夫。彼は知人の女性を家に上げてすぐに殺害し自らも命を絶った。一体なぜか…?西澤さんお得意の一本気な性格の人の原理と行動。短いながらも膝を打つ。思えばこれが一番楽しかった…。そして題名(笑)
  • 「もつれて消える」…愛人が殺されたとされる時刻に、愛人の生きた寝顔を見ていると主張する女性。一体、その夜の本当の出来事とは…?言われてみれば、あー、と思う作品。飄々とした彼女が好きだったんですがラストで嫌いに。
  • 「殺し合い」…あらすじはナシ。核となる事が短すぎて、どう書いてもネタバレに。アボくんの活躍。しかし推理の欠片もないし、ラストへの過程はいかがなものか…。父親の社会批判から最後まで読まなきゃ良かったってぐらい後味悪い。
  • 「生贄を抱く夜」…表題作。友人宅で睡眠薬を飲まされた波子はいつの間にか自宅に戻らされ、ストーカーに監禁されていた…。長い割に単純な構図。説明が挿入される構成と相まって、真相がすぐに見破れてしまう。長いのは説明と監禁描写。
  • 「動く刺青」…念写能力で毎夜、女性の部屋を覗き見ていた男。しかしある日、女性の恋人の背中の刺青が日毎に動いているのを発見する…。独断と偏見ですが、西澤さんは毎度こんな事を考えてそう。自分に超能力があったらムフッ、って。
  • 「共喰い」…ある料理屋で3人の男女がほぼ同時に死亡する事件が起きた。彼らの殺害方法と彼らを繋ぐ共通点は一体…?これは苦しい。事件のキッカケも苦しいし、殺害方法は既に細かく分かっている状態。あとは動機だが、これも苦しい。
  • 「情熱と無駄のあいだ」…レストランに毎日通い続ける女性には、ある目的があった。その目的が達成される日…。雰囲気は楽しいけど、バカバカしすぎるし、推理が無い。加害者に動機を喋らせちゃダメでしょ。保科さんに喋らせなきゃ。

生贄を抱く夜いけにえをだくよる   読了日:2005年09月01日