- 作者: 西澤保彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 文庫
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売れない作家・保科匡緒(ほしなまさお)のマンションで起こった密室殺人。そこに登場する“チョーモンイン(見習)”神麻嗣子(かんおみつぎこ)。美貌の能解(のけ)警部……。「神麻嗣子の超能力事件簿」の最初の事件である表題作をはじめ、“密室”をテーマにした6作品を収録!奇想天外の連続に驚き続けること確実な、シリーズ初の連作短編集。
多くのミステリでは「どうやって部屋を密室にしたか」が問題になるんですが、この本では答えは「超能力で!」の一言で答えが出てます。うーん、常識外れの本ですね(笑)メインは超能力者が「どうして部屋の鍵を閉めなければならなかったのか?」が問題になってます。今回の超能力は鍵を閉めるだけなんで、念動力・サイコキネシスばかりです。 けど保科らの住む地域って、超能力者が少ないから神麻さんの担当なはずなのに、出るは出るはの超能力者たち。まっ、そこは言わない約束って事で…。もしくは、他の地域ではもっと超能力者がいるのかも…? 今回はこの本で時間が結構経過するので、ちょっとずつ保科さんの家に集まっていく様子が分かって面白い。でも結局、能解さんが保科さんを好きになったキッカケは分からず。運命の一言で片付けましょう。そして最後には今後の展開の次回予告みたいなのがあります。それが思わせぶりですごく気になります…。また重そうな展開になりそうですね。
- 「念力密室」…ミステリ作家の保科匡緒が外食から帰宅すると自室には死体が倒れていた。しかも玄関は鍵とストッパーがかかっていて…。主役3人の初顔合わせ。初対面で神麻さんが保科さんにした事ってコレだったのか…。合掌(笑)
- 「死体はベランダに遭難する」…ベランダで見つかった男性の死体。奇妙なのはベランダへ続く窓は閉められていたが、玄関の鍵は開いていた事…。理論としては思いつかない展開で面白かったけれど全てがまとまり過ぎ&後味が悪い。
- 「鍵の抜ける道」…神麻さんが1人で見た死体は、保科らを呼びに行く間に消えていた。犯人はなぜ一度、部屋を密室にして外に出たのか…?またまた新しい超能力用語が出てきました。超能力で鍵を掛けた理由が必然でいい感じの話。
- 「乳児の告発」…念力密室の中には殺された男と誘拐された乳児がいた。なぜ乳児は部屋に残されたままだったのか…?意外な結末ではあるんだけど後味悪すぎる…。そしてなぜ今回だけ「力場」の流れが分からないのが作為的です。
- 「鍵の戻る道」…保科の元妻・聡子の部屋が無断で侵入され続け、鍵を変えた日に中には女性の死体が現れた…。聡子さん初登場。しかし登場人物の周囲にはロクな人間がいないですね。今回も一方的な思考が真理への道を作ります。
- 「念力密室F」…聡子が見た夢は予知夢なのか…。これからの展開が暗示されてます。でも明るい方向には行かないと思うと気が重いです…。