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われ笑う、ゆえにわれあり (文春文庫)

われ笑う、ゆえにわれあり (文春文庫)

愛ってなんぼのものか、わたしはこうして健康に打ち勝った、あなたも禁煙をやめられる、なにも考えないで楽しく生きる方法、超好意的女性論序説、汝みずからを笑え…などなど本邦初の「お笑い哲学者」が、人間について哲学的に、大マジメに考察した、摩訶不思議、変幻自在、抱腹絶倒の処女エッセイ集。


この本(文庫版)で何と言っても楽しいのは柴門ふみさんの解説である(笑)。柴門ふみお茶の水女子大(の哲学科)であった事も、土屋先生(以下ツチケン)と少なからず交流があった事、ツチケンのプライベートを客観的に語る様、全てが面白い。もちろん、本の内容をしっかり読んでツチケンの人となりを知ってからじゃないとダメだけれど。一冊読めばツチケンの基本スタンスは分かります。
この本は世間で言われている通り、電車で読んではいけません。私は夕方のラッシュの中で読んで、隣のおじさんに白い目で見られ、この本で顔を隠した事があります(密かに宣伝の意味もあった…)。もう、バカバカしいの極みである。「人間を定義するのは不可能である」の中の山の定義の絵なんて、こんな事をわざわざ考えたのか、とその無駄な労力に笑いが起こる。その上、哲学科の先生の哲学的思考である。間違っているのは分かっているのに、道筋立てて語る論理。これぞ、ムダの美学。そしてツチケンの本の特徴として挙げられるのが、本文よりも前書き、著者紹介が面白い事。こういう細かいところにも散りばめられた笑いが私は好きです。ただ、この手の本の欠点として、飽きる、という事が挙げられる。しかも、第1冊目となる、この本は特に1篇の長さが長い。興が乗っている時はいいが、続けて読むと飽きるのも事実である。既に何冊もツチケンの本は出ているけれども、読む時のタイミングと読み方が問題である。

われ笑う、ゆえにわれありわれわらう、ゆえにわれあり   読了日:2002年12月04日