《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

少女漫画と小説の感想ブログです

淀川長治タモリ・おすぎとピーコら、12人の素敵な男性をゲストに迎えて楽しいおしゃべりのはじまりはじまり…。愛について、青春について、人生についてホンネでさわやかに語り合う対談集。対談相手:渡辺暁雄、つかこうへい、淀川長治タモリ中村雅俊山川静夫柳生博古今亭志ん朝、おすぎとピーコ、永六輔江川卓(敬称略)


檀ふみさんの対談本。そしてかなり昔の本。単行本の出版が1982年で、更に雑誌『婦人公論』に対談が掲載されたのは1981年。81年というのは対談ゲストの一人であるタモリさんがまだあの長寿番組「笑っていいとも!」を始める前である(!)。80年代と今では傍点の打ち方や動作の表現などの対談内容の編集の仕方が違って少し違和感を覚えた。対談当時の檀ふみは27歳。計算すると現在の年齢が分かってしまうが、まぁ仕方ない…。当時はもう少し早かったのかもしれないがまさに結婚適齢期の年齢。そのせいか結婚や恋愛に関する話題が多い。この頃の「檀ふみさん(「文庫版あとがき」より)」にしてみれば10年後も四半世紀後も未婚だとは思ってもなかったのである…(時の流れの残酷な一面である)。そして、この頃の「檀ふみさん」は女優としても女性としてもまだフワフワしている。
身の程知らずの厳しい感想を述べると対談集として、聴き手として当時の檀ふみはまだまだ青い(なんとも生意気な…)。対談相手が男性で、その多くが年長者であるせいか、対談相手の意識は「檀ふみ」その人よりも、対談の数年前に亡くなられた檀一雄のお嬢さんの「ふみさん」として向けられているような気がした。絶妙な言葉の遣り取りが交わされる対談というよりも男性ゲスト側が一方的に喋っていて、檀ふみは受動的に後手に回っているように思えた。
25年以上の隔たりや私の知識の不足(対談相手の人となりや当時の活躍を知らない)のためこの対談の面白さが分からない部分もあった。この間に亡くなられた方もいる。しかし25年の年月の経過が思わぬ面白さを引き出す場面もあった。まだまだ「若手」のタモリさんや現役時代の江川卓選手の飾らない言葉は今となっては貴重だろう。これは本編とは関係ないのですが、江川卓さんとの対談で江川さんが慶応大学を普通受験して失敗したという話には驚いた。当時でも大学側も入学させる手段はいくらでもあったろうに。これも時代ですかね?
その中で私が最も25年の月日の重さを感じたのは対談相手のご子息の成長だった。中村雅俊さんの当時3歳の長男は俳優に、柳生博さんが土や自然に触れさせるように毎週、山に連れて行った息子さんは園芸家なっている。対談で語っていた柳生さんの教育方針が結実したようで思わず嬉しくなる。

逢えばほのぼのあえばほのぼの   読了日:2008年07月14日