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QED 式の密室 (講談社文庫)

QED 式の密室 (講談社文庫)

陰陽師の末裔」弓削家の当主、清隆が密室で変死体となって発見された。事件は自殺として処理されたが、三十年を経て、孫の弓削和哉は「目に見えない式神による殺人」説を主張する。彼の相談を受けた桑原崇は事件を解決に導くと同時に「安倍晴明伝説」の真相と式神の意外な正体を解き明かす。好調第5弾。


薄い!それだけで感動です。講談社ノベルス創刊20周年記念の本なのでどの本も薄いのですが、ことQEDシリーズが薄いのはありがたい。余計な脂肪が落とされたスマートな本 (英語のスマートは賢いなんですよね)。森博嗣さんの密室本「捩れ屋敷の利鈍」と共に新品で買ったのですが、考えてみれば1ページあたりの単価は高いですよね。
そんな愚痴は置いておいて本編の感想。今回は私の中ではこれまでのこのシリーズで1番だと思います。話が冗長にならず最初から最後まで一貫したテーマが見えていい。 そしてトリックに無理がない!これはこのシリーズ初ではないでしょうか(笑)そして私好みのトリック。主観においては整合性を持たないものに、整合性を与えるのは痛快です。陰陽師安倍晴明の伝説とホントに上手に絡めた作品だと思います。しかし日本史・古典好きの崇の周りで、連続して陰陽師の末裔やら百人一首愛好家やらが殺人事件に巻き込まれるというのは、大学助教授とその友(もしくは恋人)が事件に巻き込まれるというより無理がありますね。崇なんて漢方薬局の薬剤師ですよ…。

QED 式の密室QED しきのみっしつ   読了日:2002年01月14日