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アロハ魂 (幻冬舎文庫)

アロハ魂 (幻冬舎文庫)

ワイ島旅のエッセイ。お前が感じず、誰が感じるこの魂! 何の思い入れもなかったハワイ島で出会った、アロハ魂の数々。ロコフードの洗礼。シアワセのフラ修行。火山でパワーチャージ。12年ぶりに訪れたハワイ島で出会った“アロハ魂”の数々……。さりげない発見と驚きに満ちた、ハワイ島をめぐる旅エッセイ。


マダム小林作品では『ほげらばり』『サボテンのおなら』『キウィおこぼれ留学記』の流れを汲む旅エッセイシリーズ。全180ページ中、写真たくさん文章少な目という誰でも1日で読了できる安心構成(いかん嫌味っぽい…)。
しかしよく食べるなぁ、が最大の感想。ハワイの旅行エッセイと言うよりも食エッセイかもしれない(到着後2日続けて夕食が日本食なのでハワイの食文化ではないが)。毎日3食何を食べたか報告していたかな? 食事の印象が強く残っているのは、どれも大変美味しそうだったからでもある。特に垂涎モノだったのは鶏を炭火で丸々焼いた「フリフリチキン」。ダイナミックな料理だけど絶対、日本人好みの食事だ。あれを外で、ハワイで食べたらさぞや美味しいだろうなぁ。
観光面では予定されていた場所もあるが、どちらかというと行き当たりばったりの観光も多かったように思う。そういう自由でゆったりとした過ごし方が文章にも滲み出ており、読書中ゆったりとした気持ちでいられた。素晴らしいと思ったのは現地の人々。迷子になっちまったマダム小林を送ってくれたおじさん、一緒に古典フラを躍った現地の女性たち、大福屋の従業員の方々、あくどい商売の土産物屋の人でさえ笑顔で陽気で幸せそうだ。マダムも多用していたが「幸福感」がハワイにはあり、それが「アロハ魂」の源なのかもしれない。
百聞は一見にしかずで、たくさんの写真が掲載されているのが大変ありがたかった。カラー写真も多く、文章では描写しきれないハワイ特有の色彩や空気を上手く補完してくれている。ただ構成の問題だろうが、書かれている文章に該当する写真がその前にあったり後ろにあったりなのが惜しかった。
マダムがハワイを再発見・再考のための企画。ハワイの中でもマイナーなモヤモヤスポット、とまではいかないが決してメジャーではない、その土地の飾らない魅力を見つけるのが目的の旅。しかし穿って考えると、約1週間のエッセイ旅行と称しての経費での関係者観光旅行とも思えなくもない。固定ファンがいるから儲けも見込めるし。どうせなら映画撮影で長期間滞在し、良い所も悪い所も知り尽くしたであろうフィンランドのエッセイが読みたかった気もする…。

アロハ魂アロハだましい   読了日:2009年12月11日