- 作者: 喜国雅彦
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2005/01/01
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 29回
- この商品を含むブログ (105件) を見る
「傷だらけの天使たち」「日本一の男の魂」などの著作で知られるマンガ家・喜国雅彦。その一方、古本マニアとしても超有名人である。その彼が古本にまつわるエピソードを独特な語り口とイラストで表現。造本も彷彿とさせる仕様。
面白い!文章が不思議とツボにはまったので普通にエッセイとしても楽しいのに、それが本の話題だったら尚更楽しい。私は喜国さんと同じく蒐集癖がでていますが、私には著者の喜国さんような古本なのに定価以上のお金を出す趣味も余裕もありません。飽くまでも安く経済的に。それでも思わず共感して笑ってしまう。近所の大型古書店に足繁く通っている私にも、喜国さんにも皆さんにもきっと分かる本にまつわるエトセトラ(本屋へ行こう〜♪)。当たり前の話だけれど、古本屋において目的の本以外はただの本、いやただの本以下の目標発見の障害物である。けれど次の日になると急に欲しくなったりするのが不思議(そして買われている)。そんな不思議な空間に本好きは程度の差こそあれ魅了されていくのであろう。
「他人家の本棚」なんて涙が出た。何度も本の配置を考えて悦に入ってるのは私だけじゃなかったのか、と(規模が違いますが)。ちなみに私は文庫は出版社別派。
「T蔵書の謎」のミステリとしての面白さ!すごい推理だったのに…。
「黒背表紙を求めて」の本屋から一気に本が消失した理由に愕然としたり。そして考えてみれば+税としか書いていないからこんな所にも税率アップの布石が置かれてるのかと総額表示方式と同じく狡猾なやり方だと憤怒する社会派になったり。函や帯の有無で値段がまるで違う事に驚いたり。私もハードカバーは帯が付いている本を選ぶけど次元が違う。そして本が16か32の倍数で出来ている事を初めて知った。作り方を知れば、なるほどと思えるけれど。これで講談社ノベルスの広告の有無の理由が知れた。スッキリ。この本はリンクさせていただいているひいろさんに教えて頂いたのですが、これぞ本のリンクだと思います。一冊本を読めば、その本で言及されていた本が読みたくなり、またその本を読むと関連書籍が読みたくなる。この賞を受賞した他の年度の本が知りたい、あの作家が誉めていたあの本を読みたい。訪れる無限のループにはまっていく訳ですよ。
一度ぐらい希覯本買ってみても…と頭をかすめるのが地獄への門の入り口。