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世界の中心で、愛をさけぶ 小学館文庫

世界の中心で、愛をさけぶ 小学館文庫

十数年前・高校時代・恋人の死。好きな人を亡くすことは、なぜ辛いのだろうか。落葉の匂いのするファーストキスではじまり、死を予感させる無菌状態の中でのキスで終わる、「喪失感」から始まる魂の彷徨の物語。


今や(05年)日本最高出版部数作品となった、この本。私は02年に「ダ・ヴィンチ(雑誌)」で柴崎コウさんがこの作品を誉めていた記事を読んで、図書館で借りました。その頃は誰にも借りられず図書館に置いてありました。早く読んだのは少し自慢です(柴崎さんよりは遅いですが…)ただ面白いですかこの作品?泣けます?(泣ける本=良い本というのは間違った方程式ですが)私はひどく古典的な作品だと思います。もしかしたら現時点での売れ行きへの天の邪鬼的な感想なのかもしれないですけど…。なぜこんなに売れる?と思ってしまいます。
この作品、漫画化されてもいて、それを読んで納得しました。少女漫画なんです、設定・展開が!悪いことではありませんが、もっと良い本もあるのになぁと思わずにいられません。そして、この本が売れることによって「死」を扱う本が増えないことを祈ります。ドラマでも近頃、余命3ヶ月・1年など「死」を扱うものが増えてきてますが、粗製濫造は「死」の軽視に他ならなくなると思う。あまりに重く扱うのも嫌ですが、一定の距離で見つめられれば、と思います。そして、もう一つ気付いたこと。売れる直接の原因は分かりませんが、何番目かの理由として「厚くない」があると思います。最近の書籍はどれも厚く(特にミステリ)、薀蓄を載せ、この本は大作です、という意気込みが満々に感じられます。しかしシンプルでいて、ストレートな感情を感じられる、この本の方が手に取りやすかったのかな、と思います。

世界の中心で、愛をさけぶせかいのちゅうしんで、あいをさけぶ   読了日:2002年03月22日