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まどろむ夜のUFO (講談社文庫)

まどろむ夜のUFO (講談社文庫)

私の知らない「彼女」にジャムを作り、いそいそ出かけていく高校生の弟・タカシ。魂の前世を信じる、弟の怪しげな友人・恭一。五日おきにデートする几帳面な同級生・サダカくん。三人の奇妙な男に囲まれ、過ぎていく夏…。心の底のリアルな感覚を描き共感を呼ぶ、角田光代の作品集。野間文芸新人賞受賞作。


「幸福な遊戯」に続いて角田さん2冊目。やっぱり苦手だな〜(笑)この危うさ。そこが魅力でもあるんですけど。どうしても私は推理小説的読み方をしてしまうので、スッキリしない。例えばこの本の2作目「もう一つの扉」で出て行ったルームメイトのアサミがどこに行ったのかしっかりと描かれないと腑に落ちないんですよ。私の偏見で言わせて頂くと、恋愛小説(この本は恋愛小説ではないけれど)は「出てくる男性とは寝ると思え」です。それはミステリでの殺人の動機が誰でもいいから殺したかった、と同じぐらい私の中でモヤモヤする。この本も解説がなければ自分で解釈も出来なかった。ホントに「抽象性が高く高踏的」。解説で「フリーター文学」「アパート文学」とも言え、モラトリアムを描いてると書いてありましたが、94年頃にそれを描いてるのはやっぱり先見の明というか才能なんですかね。


「まどろむ夜のUFO」…あらすじ(↑)参照。表題作。角田さんの描く女性はみんな同じ顔をしている気がする。下手な漫画家みたいに。次の作品になっても、前の主人公と区別がつかない顔。キレイだけれども、それだけの女性。でも日本のどこかにはいるであろう女性。そこが角田さんの不思議な所。こういう女性がいる、こういう生き方が出来る社会を見事に描いていると思う。
「もう一つの扉」…短大に入学して以来ずっと誰かと同居してきたが、同居人は謎の失踪。そして同居人の彼氏が日々部屋を訪ねて来て…。UFOの次は河童ですよ。なんで普通に話が進まないのか、と河童の文字を見た時に本を閉じて溜め息。友達の彼氏と付き合ってることがキーになるのかと思った。同居人も眼鏡の男も会社も、主人公でさえ夢でした、ってオチがありそうである意味でハラハラ。
「ギャングの夜」…小学生の私を連れては不動産屋を巡る叔母の話と恋人との新居を探す現在の私。あの頃叔母は、そして今、私は何を求めているのか。一番好き。30ページで十分。心落ち着ける居場所を求めるのに苦労する現代を描いたのかな?とにかく読んでいて面白かった。それが小説。

まどろむ夜のUFOまどろむよるのUFO   読了日:2004年12月15日