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午前三時のルースター (文春文庫)

午前三時のルースター (文春文庫)

旅行代理店に勤務する長瀬は、得意先の中西社長に孫の慎一郎のベトナム行きに付き添ってほしいという依頼を受ける。慎一郎の本当の目的は、家族に内緒で、失踪した父親の消息を尋ねることだった。現地の娼婦・メイや運転手・ビエンと共に父親を探す一行を何者かが妨害する…最後に辿りついた切ない真実とは。サントリーミステリー大賞受賞作。


男の小説って感じでしょうか。30代独身・部屋には生活必需品以外何もない・車やバイクに詳しい。男性って総じてこういう暮らしに憧れるもんなんですかね。なんとなく紋切り型の男性像な気もします。でも小説でぐらい理想の生活のカタチを見てもいいとは思います。主人公・長瀬の友人の源内も悲話とは言え、理想的な暮らしをしている一人です。
父親探しが主題。なにもかもうまくいっていた父がなぜ失踪したのか。出された答えは納得いくような、いかないような。もっと大きな組織による犯行とか考えてたので。読んだことは無いんですが、真保裕一さんみたいなイメージで・・最後のどんでん返しも、いささか急な話。とってつけたようにラスト数十ページで言われても、今更!?って思う。ミステリとして読むのならば、もっとゆっくりと真相に近づく過程がほしかった。 立派な大人というのは、自分の過去に対しても、未来に対しても責任が持てる、と学校では習ったような。それは何に対しても同じで、その行動に対する責任を(一方的にではなく)果たしたと思うまで、中途半端に放棄しないことではないかと思う。男のロマンもいいが、成人した男なら周囲を思いやる気持ちを持てと思う。 とは言ったものの一少年の成長物語としては嫌いじゃないかも。周りの(本当に)身勝手な大人たちに従属するわけでもなくまっすぐ生きていく彼はホントのいい男になるのでは?という期待は持てますが。

午前三時のルースターごぜんさんじのルースター   読了日:2004年01月07日