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博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

「ぼくの記憶は80分しかもたない」博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた―記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。


博士と私とルートの暮らす空間はどこか数学的な静寂に包まれてる。一筋の光はあるけれど、どこか厳格な空気。読んでいてすっと心地良い、それでいてどこかはかなげな雰囲気。やっぱりそれは博士の保持されない記憶力に起因するものだと思います。何回も繰り返される同じ会話、でも新しい日々。そんな日常と特別な出来事。最後の数十ページはこのまま何も起こらないでくれ、という祈りにも似た感情でページをめくっていました。どことなく「センセイの鞄」に似ていると思ったのは私だけでしょうか?年齢の構図や空気が似てるから単純に連想しているだけかもしれませんが(こちらに恋愛要素は無いですし)本屋大賞に選ばれるだけある知的で切ない物語でした。やはり皆さんに一度は読んで欲しいと私も思います。

博士の愛した数式はかせのあいしたすうしき   読了日:2004年05月05日