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長い家の殺人 (講談社文庫)

長い家の殺人 (講談社文庫)

完壁の「密室」と「アリバイ」のもとで発生する、学生バンド"メイプル・リーフ"殺人劇。「ミステリー史上に残ってしかるべき大胆なアイデア、ミステリーの原点」と島田荘司氏が激賞する、この恐るべき謎を、あなたの脳細胞は果して解けるか? 待望久しかった大型新人の鮮烈かつ恐愕のデビュー作。


この本と私の出会いは不幸な星回りの下にあった(多分、冥王星が惑星じゃなくなったからだろう(読了3日前の出来事))。というのも数ヶ月前に、この作品と類似するトリックが使われているミステリを読んでしまっていたのだ更に読書中に、読書系ブログで類似作品の紹介文を読んで、内容・トリックをしっかり思い出してしまったのも悪かった。出版年としては、本書の方が15年以上も前なので、ただただ私の読む順番・タイミングの問題である…。なんとも不幸な星回りだ。
この作品はとても単純な構造のミステリである。トリックも大胆だがシンプルで、ミスリーディングや解決への伏線も律儀に書かれている。だからとても読みやすい。ただ、その反面、新本格作家のデビュー作の推薦文でお馴染みの島田荘司さんも「薦」の中で指摘している通り、『早い段階でトリックが露見しかねない欠点』がある。推敲によってもカヴァー出来ているとは言い難い。実際、私にも露見してしまったのだから。これは作者の未熟さであろう。 とはいえ、作者は新本格世代の作家の中で今(06年)でも活躍し続け、評価を得ている人物である。今後、面白くなるであろうから、今回は単に読む順番がまずかったと思うことにします。
だが探偵役の信濃譲二も魅力的というよりエキセントリック過ぎる。彼が今後、何作か探偵役を務めるのかと思うと次作を読む気が…。また登場する学生バンド「メイプル・リーフ」の面々も幼すぎるような気がした。動機や言動など彼らに感情移入できなかったので、苦めの青春ミステリとしても読めなかったのが残念でした。
(ネタバレ反転→)ミステリ好きとして、非常に残念なのは第一の殺人と第二の殺人のトリックが全く同じ事である。特に第二の殺人は犯人が切羽詰っていたとはいえ犯行が杜撰で、なぜあの場所で殺人を犯さなければならなかったのかの説得力がまるでない。トリックとしても一回目に比べると完成度が低く、このトリックが成立するか微妙なラインである。これには作者が己のトリックに固執しすぎている感じがした。第一の殺人のトリックに気づいた読者には退屈な中盤であろう。せめて、もう一つトリックを考えてくれれば、と思わずにはいられない。(←ここまで)

長い家の殺人ながいいえのさつじん   読了日:2006年08月27日