《漫画》宇宙へポーイ!《小説》

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もつれっぱなし (文春文庫)

もつれっぱなし (文春文庫)

あなたは宇宙人はいると思いますか?狼男は?じゃあ幽霊はどうでしょう?絶対にいないと思う方は、この本をお読み下さい。なにげなく始まった会話が、もつれにもつれて意外な方向に転がり、やがて摩訶不思議な結末へ…。作品全体が一組の男女の「せりふ」だけで構成された、謎と笑いの短篇集。


あらすじに書いてある通りの内容なのですが、肝心の結末がどれも中途半端というか不完全燃焼という感じ…。会話のみの小説というのは私にとっては初めてだったので期待したのですが、どうも会話が同じ方向にしか向いてない。一方が不可思議なことを言って、一方が信じないで証明してみせろ、と言う。それを行動で証明すればいいのに、ずっと会話だけしている。そして大概の話が恋人同士だから、どちらでもいいんじゃない?という曖昧な結論に。短編なので感想をそれぞれ。

  • 「宇宙人の証明」…ただの危険な女と思うのですが。結末は一番好きかも。しかしそれは最初の話だったからで、まさかこのような展開が何回も続くなんて‥
  • 「四十四年後の証明」…どっかで聞いたような話。これは証明されたんじゃないかな?意気地のない男ですね。人生訓もあって清清しい作品ではあります。
  • 「呪いの証明」…これも危険な女。殺したかった人が事故でも何でも死んでくれたんだから、わざわざ罪を告白しなくてもいいんじゃないの?
  • 「狼男の証明」…最後の展開がなければ好き。のど飴の使い方よかったのにラスト一回はしつこい。これもここまで証拠揃ってれば証明になるんではないかと。
  • 「幽霊の証明」…なんとも後味の悪い作品。会話形式じゃなければもう少し伏線とかがあったのでしょうが伏線無しに結末言われてしまって、呆然としました。
  • 「嘘の証明」…オチさえなければ面白い。これがアドリブの舞台だったらいいのですが、この状況でこういう会話する男女はきわめて危険な気がします。

もつれっぱなし   読了日:2004年07月28日