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風が吹いたら桶屋がもうかる (集英社文庫)

風が吹いたら桶屋がもうかる (集英社文庫)

牛丼屋でアルバイトをするシュンペイにはフリーターのヨーノスケと、パチプロ並の腕を持つイッカクという同居人がいる。ヨーノスケはまだ開発途上だが超能力者である。その噂を聞きつけ、なぜか美女たちが次々と事件解決の相談に訪れる。ミステリ小説ファンのイッカクの論理的な推理をしり目に、ヨーノスケの能力は、鮮やかにしかも意外な真相を導き出す。


水戸黄門的繰り返し。毎回同じパターンで同じオチ、なのにすごく面白い、不思議な作品です。本書は本格ミステリへのアンチテーゼと捕らえることも出来るのだそうだけど、そんなことを考えなくても、文句なしの面白さ。さて、ではどこが面白いのかというと、…どこなんだろう?3人それぞれのキャラクタだろうか。役割分担がしっかりされていて、会話にも面白さが潜んでいる、その日常的なコミカルさ、ですかね。私のお薦めは開発途上超能力者のヨーノスケ君です。使いものにならない超能力、これが無駄でいい。これぞ本作のテーマかも!? 章のタイトルは「風が吹いたら桶屋がもうかる」の正式バージョン。バタフライ・エフェクト

  • 「風が吹いたらほこりが舞って」…シュンペイの元に訪れた麻生千佳は、失踪した恋人を超能力をもつらしいヨーノスケに頼めないか、という。超能力は、私たちの能力を超えているけれど、役に立つのかは別の話ってのが面白い。
  • 「目の見えぬ人ばかりふえたなら」…麻生千佳の兄の友達・宇田川織枝の相談は、事故に遭い亡くなる直前の叔父の言葉の謎の解明。論理的に解決しても、それは自分の論理との整合性が高いだけ。穴のないミステリは存在するのか?
  • 「あんま志願が数千人」…笈川聡子は宇田川織枝の紹介でシュンペイの元を訪れる。夜中になると聞こえてくる男と赤ちゃんの声を解決してもらうために。イッカクの推理はどこから出てくるのか?ある意味、天才・名探偵だと思う。
  • 「品切れ三味線増産体制」…笈川聡子の紹介で牛丼屋に現れた杵淵泰世。彼女は自分の子供の命の恩人に会えるよう、ヨーノスケに頼む。イッカクの推理は心臓に悪いです。しかも当たらないときてる・・いいのか、このオチで。
  • 「哀れな猫の大量虐殺」…杵淵泰世に言われて敷島尚子がやってきたのは牛丼屋が忙しい時だった。超能力を信じない彼女は、ヨーノスケに寄木細工の中にあるものを当てろと言う。今回は変化球。ストライクぎりぎりハズレのボール。
  • 「ふえたねずみが風呂桶かじり」…ヨーノスケの能力を敷島尚子に教わった滝沢朋美は、金曜日に部屋で起こる怪奇現象の調査を依頼。普通のミステリならイッカクの推理で驚愕の真相→決着、で終わるのに、まさにどんでん返し。
  • 「とどのつまりは桶屋がもうかる」…滝沢朋美に教えられた倉庫に松原亜紀がやって来た。彼女は家を出て行った同居人を探して欲しいと言う。そう、いつだって、こうなのだ。でも、それが最高に素晴らしいミステリなのだ!!

風が吹いたら桶屋がもうかるかぜがふいたらおけやがもうかる   読了日:2003年05月29日