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水車館の殺人 (講談社文庫)

水車館の殺人 (講談社文庫)

古城を思わせる異形の建物「水車館」の主人は、過去の事故で顔面を傷つけ、常に仮面をかぶる。そして妻は幽閉同然の美少女。ここにうさんくさい客たちが集まった時点から、惨劇の幕が開く。密室から男が消失したことと、1年前の奇怪な殺人とは、どう関連するか?驚異の仕掛けをひそませた野心作。


1年3ヶ月ぶりに「館」訪問。新本格的なの格式ばった文章にウンザリして読むのを躊躇っていたのですが、読み始めたら割りとすんなり読めました。これでミステリ熱が再燃するといいのですが…。事件は現在と過去(1年前)の交互の描写で構成されていて、過去の事件を聴き、それに対する解釈を探偵役の島田潔がするというもので、非常に読みやすかった。事件描写が冗長にならず、意味のない推論がカットされている。トリックはもしかしたらミステリを読み慣れている大半の人が気付くものかもしれない(私は気付かなかったが…)。作中で島田潔が言う「物事はパズルのようだ」というセリフがピッタシの展開が良かった。計算式を解くような解の求め方はミステリの醍醐味です。綾辻さんのあとがきによると館シリーズのシリーズ化決定は、2作目の構想を考えている時に初めて生まれたらしい。私はもう何作もシリーズになってから存在を知ったので、その場当たり的なシリーズ化に1番驚いた。なにぶん久しぶりのシリーズ読書だったので、1作目にも(半分)探偵役を務めていたなんてスッカリ忘てました。読み返して、2作目そして更に1作目の味わいが増しました。シリーズ物はお互い影響を与える所が強みですね。
解説は有栖川有栖さん。有栖川さんの著書に綾辻さんが解説を書いたものを少し覚えていたので、書出しが似ていて(示し合わせて?)笑ってしまいましたが、ミステリ作家の解説にありがちなミステリ論でした…。新本格肯定なんて解説でやらず、二人でやって、と思ってしまった。私は解説まで読む派なので(最後に読む)解説は心地よく終わらせてくれ、と毎度ミステリの解説を読むたびに思います。

水車館の殺人すいしゃかんのさつじん   読了日:2004年09月12日