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0の殺人 (講談社文庫)

0の殺人 (講談社文庫)

容疑者リストつき異色の新本格推理。冒頭で明かされた容疑者たちのなかからあなたは真犯人を突きとめられますか? 物語の冒頭に置かれた<作者からの注意>に、驚くべきことに、奇妙極まりない殺人劇の容疑者たち4人のリストが公開されている!この大胆かつ破天荒な作者の挑戦に、果してあなたは犯人を突きとめられるか?ご存知、速水警部補と推理マニアの弟と妹が活躍する、異色の傑作長編推理。


前作『8の殺人』 に続く速水兄弟シリーズ。しっかりとした新本格推理なのにさらっと読めて嫌味を感じさせない。適度なユーモアと推理小説と距離を置いているところがいいのでしょう。推理の美しさばかりに気をとられている他の新本格とは少し違っていい。速水兄弟の会話の妙もグッド。ちなみに今作では速水三兄弟の詳細なプロフィールまで載っていてファンには堪らないだろう。弟妹が美男美女ならば長兄もそれなりでいい気がしますが、不幸の星の下に生まれたんですかね。
と主人公たちの描き方をばかりを誉めても仕方がないので、内容の方へ。この作者はタイトルの使い方が上手いですよね。『8の殺人』でも8の字館だったし、今回も効果覿面って感じのタイトルです。プロットも上手く、犯人の独白場面が挿入されている所が、かえって読者に混乱をまねくという構造。私はすっかり騙された作者思いの読者になりました。

0の殺人ゼロのさつじん   読了日:2002年02月08日