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わが身世にふる、じじわかし (創元推理文庫)

わが身世にふる、じじわかし (創元推理文庫)

ある日、庭先で好物のデビラを叩いていると、ニューヨーク研修帰りの河田警部が半年ぶりにやって来た。例のごとく、夕飯時という絶妙なタイミングでやって来る。自分で解決できない難事件を、ぼくの妻に解かせようという魂胆だ。高名な詩人が謎の詩を残して殺害された事件や、ニューヨーク時代にわざわざ国際電話をかけてきた事件など、不可思議な6編を収録。讃岐料理や郷土料理で彩られた《ミミズクとオリーブ》最新作。文庫オリジナル。解説=竹内真


またもや私の願いが東京創元社に通じたのか(またもや違うと思うけど)、大好きな「台所探偵」の続編が数年振りに登場。本当に一文一文しみじみ、じっくり読ませて頂きました。数年振りの再会ですが冒頭の一文から、この作品の「味わい」が心いっぱいに広がった。『今年も花見にいけなかった。行こうと思えばいけたのだが、そうは思わなかった。思えなかった。だからいけなかった』だもの!
前作でニューヨークに旅立った河田警部も帰国して、また3人の掛け合い漫才のような会話が楽しめます。今回も「ぼく」の妻の推理力・女の勘は健在だが、本書では河田警部の「刑事の直感」が多かったように思う。海外研修で能力が増したのかしら…? そして、「ぼく」。彼は相変わらず。それどころか弱ってる…!?
今回、一番感動したのは「ぼく」が河田に何気なく言う「最愛の妻」という言葉。冗談を言い合うような会話の流れではあるが、結婚して何十年にもなる妻をそう呼べる関係、その感情にとても憧れる。おしどりならぬ、ミミズク夫婦。
解説は竹内真さん。今度は是非とも竹内さんにもミステリを書いて欲しい!

  • 「ト・アペイロン」…高名な詩人が鋭利な刃物で刺されて死んだ。だが刃物は消え去り、現場には一篇の詩が残されていた…。河田警部のカムバック。何だか人が変わった。でも変わらない会話の軽妙さ、言葉遊び。シリーズもカムバック!
  • 「NY・アップル」…ブロードウェイの劇場で男性が全裸死体で発見される。しかも身体に惨い仕打ちがされていて…。NYでの河田警部の活躍(?)『冗長な部分は適宜要約』、されてない(笑) 「違うの」が口癖の女優さんといえば檀ふみさん。
  • 「わが身世にふる、じじわかし」…酒造会社の社長と専務が相次いで行方不明に。間もなく専務の行方が分かるが、彼は既に…。表題作。冒頭のエピソードから「老い」にまつわる一編。本書の「ぼく」は何度も弱っていて、ちょっと可哀想。
  • 「いないいないばあ」…会社会長の若き後妻が自宅の寝室で死体で発見される。急性心不全だが、河田の直感は疑念の声を囁く…。これまた美味しそうな料理が登場。芦原さん、料理本の出版はいかが? あっ、ミステリの話が…。
  • 「薄明の王子」…プロレスの興行中、人気レスラーが技をかけられ失神し、そのまま帰らぬ人になる。しかし彼には悪い噂が絶たなくて…。最初から最後までプロレスづくし。プロレスという舞台設定が活かされ、ミステリとしても凝っている。
  • さみだれ」…宝石店経営者の妻と精神科医の夫が相次いで自殺を図った。自殺の数週間前はそれぞれ精神が衰弱してたというが…。全体的に曇り空の短編。「ぼく」は断酒して、妻を悲しませぬよう努力なさい! この幸せもんがっ!

わが身世にふる、じじわかしわがみよにふる、じじわかし   読了日:2007年02月25日