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王妃の館 下 (集英社文庫)

王妃の館 下 (集英社文庫)

ひと癖もふた癖もある「光」と「影」のツアーメンバーたちは、ドタバタ騒ぎとニアミスをくりかえしながらも、それぞれのパリの旅を楽しんでいた―かに思えたが、ついにツアーの二重売りがバレそうになって、さあ大変。さらに「王妃の館」に秘められた太陽王・ルイ十四世の愛の行方をからめて、物語は十七世紀と現代とを縦横無尽に駆けめぐる。思いっきり笑って泣いて、ついに感動の大団円。


なるほど、「光」と「影」の登場人物を合わせて広い視野で見渡せば、こうなるのかという終わり方ですね。登場人物がこれでもかと紋切り型だったのは必要があってのことか。こういうカタルシスは好きですね。世の中こういうこともあるのかもしれないという、希望や温かさが残る。『プリズンホテル』とは違っていましたが、こちらの話も結局好きになりました。まぁ後の方に書くルイ王の話への評価が高かったからかもしれませんが。 相変わらず「笑い」はないですけどね。「笑い」よりも物語の上手さが際立ってしまっている。
しかし上巻の感想でも触れた登場人物の小説家が書く、幼き日のルイ14世の話の方が面白かった。マナーの起源や、当時のフランス貴族の生活の書き込みが良い。ルイ14世自身の話には多少、史実と離れているところもあるのだろうが、どのエピソードもホントに胸を打つものだった。やはり、これだけの話で書ききって欲しかったという思いもあります。そう考えると、小説家の小説の挿話は 必然だったのかよく分からないですけどね。

王妃の館(下)おうひのやかた   読了日:2002年09月12日