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ダブ(エ)ストン街道 (講談社文庫)

ダブ(エ)ストン街道 (講談社文庫)

タニアを見かけませんか。僕の彼女でモデルなんですけど、ひどい夢遊病で。ダブエストンだかダブストンだかに探しにきたんです。迷い込むと一生出られない土地なんで心配で。王様?幽霊船?見ないなあ。じゃ急いでるんでお先に。推理作家協会賞受賞作家の原点。メフィスト賞受賞作。


ミステリを基本としたメフィスト賞受賞作だけれども、読めども読めども事件らしい事件が起きないので面を食らった作品。この本は分類すればファンタジーのカテゴリですかね? 思い込みにより序盤から予想外の物語の展開に戸惑いましたが、次第にこの世界に慣れて、世界の仕組みが面白くなってきました。またタイトルに括弧が入る本なんて私は初めて見たので強く印象に残っています。
前半は兎に角よく分からない。ダブ(エ)ストンに迷った主人公・ケンと同じく、読者もこのダブ(エ)ストンの不思議に慣れなくてはならない。また途中に入る数々の挿話も前半の段階では意味が分からないので、戸惑いを覚え、つまずきを感じた。読み終わって全体的な構造を考えてみても前半〜中盤はスピード感がいま一つ足りない。目的はタニアを探すことただ一つ。それだけで物語を引っ張るのは難しい。もうちょっと読者の興味を惹きたてるような出来事があったら良かったのに、と思う。ちょっとずつ語られる数々の挿話は、(予想通り)終盤にそれぞれ微妙に交錯して意味を持つのだが、全部が必要だったかというと、そうは思えないけれど。前半〜中盤はスピード感と牽引力に欠ける。そこがとても残念です。
ただ終盤はある一点を除いて、素直に面白いと感じた。赤い影の話や、ポール・カーライル卿のダブ(エ)ストンからの脱出のエピソードはぞくりとした。ファンタジィなんだけど、妙に生臭くて残酷で切ない。けれど、その反面アップルの××は頂けなかったな…。
と、色々物語自体の事を書いてきたが、もちろん一番の魅力は物語自体ではなく、この世界の構築だと思う。ケンが露天で売るアレは、ある世界でとても貴重なものという話は面白かったし、都市・ドバイの建築物の構造も考えられている。自分の想像した世界のラクダやツバメ・野菜などの独自の形態を考えるのは、とても楽しいだろうと思う。

ダブ(エ)ストン街道ダブ(エ)ストンかいどう   読了日:2001年06月25日